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今朝、一緒に駅までへの道を歩いていた我が夫が突然「あっ」と叫んだ。

「Mちゃん、あの映画ミタインデス、しお さん デス。」

今までにも、サザンチキンを「南鶏肉」と読んだり、なんでも勝手に日本語に訳しては得意そうな顔をしている彼なのだが、この時ばかりは本気で何を言っているのかわからなかった。

「塩・・さん?」

うーむと考え込む私に彼はものすごく不満げ、手足をじたばたさせて抗議する。

「あれ、あれ!!」

もどかしそうに伸ばしたその手の先に私が見たものは、

アンジェリーナ・ジョリー最新作「THE SALT」のポスター。

DSC04737_convert_20100823181004.jpg
★わーい、塩さんデス!


普通に読まんかい!!!

しかも何で、「さん」をつけるのだ?

そういえば、この前ミスタードーナツの日本名をからかってたずねたら、私が予想した「揚げパン氏」ではなく、「どーなっつ さま」という答えが返ってきたっけ。ううむ、我が夫てつおよ、君は日本のコメディ界にデビューするとよい。

更には、「中途半端な日本語なので、分からなかったわ!」と意地悪げに応えた私に対し、むーと怒っていたかと思うと、「Mちゃんの頭はピーナッツデス!日本人じゃアリマセン。」と反撃してきやがった。そうきたか。

何故そんなに、すべてを日本語に訳したがるのだろう。異様なほど日本が好きでいてくれるのはありがたいが、自分が日本人だと勘違いしている節があるので困る。

先日はロンドンの街中で、日本から観光にこられた若いカップルに大英博物館への道を訪ねられた。私が日本人だとわかって、声をかけてくださったのだろう。久々に日本語で会話ができると、ウキウキと道のりを説明しようとしたところ、横から要らない子がしゃしゃりでてきた。

「ここ みち まっつぐ あるきマス そして 10ふん あと みぎ 行きマス。」

ニコニコと得意げに説明するゴードンであったが、そのカップルの方々は「いや、あなたじゃなくて!」という思いでいっぱいであっただろう。しかも分かりにくい、プラス、アバウトすぎる。10分って何?!

しかし、私がしゃしゃり出ていこうものなら、また「ぶー」と怒ってしまうので、何も言えずに黙るしかない。ごめんなさい、本当に申し訳ない。

全くわからない説明にもご丁寧にお礼を言ってくださり、彼らは去っていったが、ゴードンは「えへえへ」と嬉しそう、「お礼言われちゃった!」と、真っ赤になり喜んでいた。

彼らは無事に大英博物館に辿り着けたであろうか、今も心配している。

DSC07004.jpg
★ムール貝を8月に1キロ一気食い。いつかあたるぞ、私。

さて、ここの所のロンドンは、いよいよじわじわ、あの暗ーい季節に向かっているようである。この前まであんなに晴れていたのに、毎日のようにお空は灰色で、朝も夕方も寒々と暗い。

ヨーロッパでも北のほうにあるイギリスは、冬になると全く一日のうちで日が照らないなんて恐ろしい日もある。

寒々とした古めかしい建物が並ぶ町並み、知り合いの少ない環境に、急に憂鬱になり、孤独になる嫌な季節なのだ。あーやだやだ。

イギリスに来るまで、天気が体調にこれほど関係するとは気がつかなかった。お日様がこんなに人間にとって大切だなんて、知らなかったのだ。

ヨーロッパの知り合いに冬を乗り切る秘訣を聞いたところ、「夏の間に思い切り日を浴びる。」、「汗をかく。」、「太陽の光に近いライトを部屋に置く。」、「太陽のある国に逃げる。」などなど。

そうか、これでみんなが夏の間思い切り肌を出している理由が分かった。あれは露出をしているのではなく、冬を乗り切るために必要なことであったのか。勘違いしていた自分、反省だ。

確かに去年日本に冬帰ったとき、あまりに昼間明るいので、ゴードンと二人してやたらハイテンションになったものだ。彼は、毎日Tシャツ一枚で過ごしていて、家族や友人に、「げっ、おかしくない?」と心配されていた程。

夏はもう行ってしまうし、太陽の光に近いライトはお財布と相談、太陽のある国に逃げるのは時間と相談・・後は汗か。

ということで、ウォーキングをかねて、じょみーちゃんとまたまたイーストロンドンに行ってきた。目的は美味しく辛いパキスタン料理と持ち込み可能な美味しいビール。歩いて食べて汗をかこうという企みである。

晴れていた中をニコニコ歩いていたら、文字通り「ドシャー」という、悲惨な雨が降ってきた。この国の天気にはいつも驚かされる。慌てて傘をさすが、全く機能しない。洪水か?!

「私たちにカレーを食べさせない気?!キー」と、じょみーちゃんが叫ぶ。本当にそのつもりらしい。参った降参、薬局で雨宿りをしよう。

仕方が無いので薬局でうだうだしていたら、あっという間に晴れてきやがった。ロンドンの空は多重人格らしい。

改めてずんずんと東に向かったのだが、ロンドン生活が長い私たちも、町並みが変わるに連れて、なんだか自分たちが本当に英国にいるのか、分からなくなってきた。

photo4.jpg
★ブリック・レーンは今やアートな街として人気。

レストランがあるホワイトチャペルという地域に近づくにつれて、道にあふれていたのは、礼拝を終え白い民族衣装を着たエスニックな人たちの波、波、波。

19世紀には「切り裂き・ジャック」の舞台となったかつての貧民街、イーストエンドだが、今はインドやアラブ系の移民の方がたくさん移り住んでいるとは聞いていた。まさか、ここまでとは。

礼拝の後だからだろうか、異様に人の密集度が高い。く、苦しい。私は義弟のいるエジプトに来てしまったのだろうか?バラマーケットだってこれ程に混んでいないぞ。

ここが英国だと、誰が信じるだろうか。いや、ここが「ロンドン」だといえばみんな頷くだろう。

人の波にもまれて、身動きも取れないほどの群集の中をすり抜けて、ようやく辿り着いたレストランTAYYABSであったが、なんだか色々なことを考えさせられてしまった。※店のHP、アジアンな音が出ます。注意。

DSC06997.jpg
★ラムチョップはものすごい煙とともに現れた。

イギリス人の友人Jが、いつだったか、「イギリスは侵略を繰り返してきたから、罰が当たったかな。」とブラックジョークを飛ばしていたが、彼は決して他の民族を差別しているのではなく、「イギリス人以外の民族がロンドンにこれほどまで多く住んでいる事実」をジョークにしただけ、そしてそれは事実、私も身をもって体験している。

街を歩いていれば、英語以外の言語が聞こえる。
買い物に行けば、驚くほど読めない、英語以外の看板がある。

「いいんだよ、世界はみんなのものだから、イギリスに移住した事で、みんなが幸せならそれでいいよ。」と彼は笑っていたが、なんて懐が深いんだろう。町全体が他の国と見間違えるほど変わってしまっているのに、彼らの優しさと寛容さには、せめて自分はおとなしく謙虚でいようと、思わずにはいられない。

DSC06998.jpg
★オクラのカレーに故郷を思う。

不思議だが、長くいれば長くいるほど、イギリスに愛着もわいてくる。イギリスへの感謝も産まれてくる。暗い冬だろうが、寂しかろうが、嫌なら日本へ帰ればよいのに、居座っているのは私の責任なのだ。

頂いたお料理はとても美味しかったが、なんだかそれ以上に学ぶことが多い一日だった。私もここでは「移民」の一人である。感謝して、生きていこうと思う。



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ロンドン・レストラン・カフェ・パブ | コメント(21) | トラックバック(0)
コメント
確かに塩・・・
塩さん観たよ!
おもしろかったよ。アンジーは運動神経いいねぇって変なところに関心しちゃったっけ。

ロンドンっていうとカレー(インド)のイメージだったけどアラブ系もあるんだね。
日本じゃ珍しい料理だからどんなもんか気になるわ♪
てつお氏と時々Skypeで話すけど「よっ!てつお」と呼ぶとスルーされる...苦笑
でも日本語上手になったと思うよ!
わ~!
美味しそう(*´∀`)♪
私もパキスタン人の友達にカレー作ってもらったことがあったけど
相当に美味しかったですよ~!
塩さんもウケます( *´艸)プッ
観光客に説明できてよかったですね~てつおさん!
No title
ももぐらもさん、ちーっす。

ぱちぱち様の「塩さん」に始まり、
最後は教訓のある深い話に終わる。
その脈絡のなさがオイラは好き♪

国際結婚をして、海外で暮らすというのは
単純に憧れを抱く人も多くいるだろうけど
良いことばかりではないですよねぇ。
寂しく思うことも多いことでしょう。

もし、日本語が恋しくなったのなら
ここをどんどん活かしてくださいね。
インターネットはホント、便利っ♪
物理的な距離が帳消しになりますからね。
気になるのはお互いの時差くらいなもんです。
お望みとあらばオイラも相手しますよ☆

あ・・・最後にひとこと。
ぱちぱち様の日本コメディ界進出に1票!!
今日も暑かったです
移民が増えるとおいしいレストランが増えるのは嬉しいですね。パキスタン料理も食ったことないです。インド料理とは違うのかな?パンはナンじゃなさそう。ラムチョップも色鮮やかでおいしそうだなあ。
Re: 確かに塩・・・
あやちゃん、こんにちは!

塩さん、みたんだね。笑
てつおに「あやちゃん、塩さん見たって」って話したら
「ふえー」って、普通に受け答えていたから
本人はその呼び方が面白いって、おもっていないよね。笑

ロンドンは本当に色々だよ。中国の人も多いし、最近は韓国の人も
いっぱいいるなあ、南アフリカ人も、アラビックも、アフリカの人も、
オーストラリアの人も、EUの人も、それ以外の人も、南アメリカの人も・・・うー
きりがないけれど、ほんっとうにいっぱいだよ。
昨日行ったパブのお兄ちゃんはポーランドから来ていたし、その前はハンガリーだったし、
ZARAで今日家で着るワンピースを買ったら、店員さんはスペイン人だった。

日本語上手になったこと認めないのは本人だけみたい!
Re: わ~!
RISAさん、こんにちは!

アジアの人は、本当にスパイスの使い方が上手ですよね!
すごいなーっていつもまねするんですが、なかなかできない。
インドのカレーも、家庭によってぜんぜん味が違って、
びっくりします。尊敬しちゃう。

私もパキスタンの人から習ってみたい!すごく勉強になるだろうなあ。
Re: No title
夢みる三十路突入男 さん、ちーす

ありがとう、コメントをもらってすっごく嬉しかったです、何度も読んじゃった。
いつも自分に、「自分で選んでここにいるんだからね、文句を言うな」って言い聞かせているんですよね。
だけれど、やっぱり、うまくいかないことが多すぎて、些細なことでもすっごく落ち込んじゃったり、
だから夢みる三十路突入男さんの言葉がすごく嬉しかったな。

夏目漱石とかもロンドンに留学していたころは、ネットも無くて、ものすごく大変だったに違いないなと
コメントを読んで、ふと勇気付けられました。

今年は日本に帰れないかもしれないけれど、なんだかみんなとつながっている気がします。
ありがとう。

コメディアンになって、日本で働いてくれないかなあ・・・っていうか
日本のお笑いはレベルが高すぎて、てつおではやっぱり間に合わないと思う。笑
Re: 今日も暑かったです
涼一さん、こんにちは!

ロンドンは今日は寒いです、雨がバーバーふっていて、傘まで壊れた!残念!
ただ、バスの運転手さんが、乗り遅れそうになったらドア開けてくれたので、
よい日でした:)

このおせんべいみたいなやつ、前菜によく出てくるひらべったいパーパドって言うらしいんです。(日本語では)英語では違う発音なので、それも記載しておきますね!
PAPADUM
http://en.wikipedia.org/wiki/Papadum

チャッネとか、たまねぎの刻んだものや、色々なソースをつけてぽりぽりするんですが、
おいしいですよ。メニューを選んでいる間にこれとビールで、おなかいっぱいになったりする。

ラムはかなりスパイスが効いていて美味しかったです。ヨーグルトとカレー粉とにんにくを混ぜて、
マリネしても、同じようにはいかなくても、美味しく出来上がるんですが・・タンドリーもどきです。
No title
思わず私も真剣になんだ、なんだと考えましたが、さっぱり私の頭では思いつかず先に慌ててよみました。
面白い!!そう塩さんですね。思わず関西人突っ込みたいです。モモグラモさんの家庭はいつも
笑いがありほのぼので素敵ですね。
とロンドンは本当に不思議な国ですね。でもまだ行った事ないところです。描写うまいのでなんだか想像しやすくイメージできました。さすがです。
私、時々異国に住むって考えちゃいます。寂しいのになんだか寂しさもうまく言えない感じで、なのでつい感謝忘れちゃう時あります。
なので、それでも感謝忘れないモモグラモさんの姿勢、かっこいいし、素敵だし大好きです。


Re: No title
mu-minnさん、こんにちは!

私も強がっているけれど、同じですよ。英語でうまく相手に本音を伝えられないし、毎日「うーうー」って苦しんでいます。そのストレスや、自分で思う以上にすごいみたい、みんな同じですよ!

ロンドンにいる人のブログを表面的に読んでしまうと、がんばっていたり、短期の滞在ですごくエンジョイされている方も多いので、比べてしまうと苦しくなるんですよね。
私は、もう開き直って、マイペースです。ロンドンに住んでいるという事は私にとって居場所以外のなんでもないです、特別でもないし、日本と比べたり、特別がんばることもしない。

大丈夫ですよ!

一緒に色々、これから冒険しましょうね!
No title
こんばんは!

テストが終わってウキウキで遊びにまいりました!

よく考えたら私も「塩さん」って頭の中で訳していました。てつおさんと一緒だとお伝え下さいませ。(笑)英語をまだまだ日本語で考える私、英語脳には程遠いです。とほほ・・・・

ラムチョップの写真を見て、また行きたくなっています。今度はお祈りの時間にあたらない方が無難ですね。。。。
移民としてこの国に生活させてもらっている感謝の気持ちを忘れずに、日々精進していきたいですね!また近いうちにのみに行きましょう♪
No title
>冬を乗り切る秘訣を聞いたところ、「夏の間に思い切り日を浴びる。」、「汗をかく。」、「太陽の光に近いライトを部屋に置く。」、「太陽のある国に逃げる。」などなど。

全部やってますう。
そっちもやっぱりそうでしたか。
辛いんですよね、この灰色の空。

1枚目の写真、てるおさん素敵な笑顔!

日本語がすきなんてうちの旦那に爪の垢を煎じて飲ましてやりたいと、てつおさんにお伝えください。 (これは分かるかな?)

ロンドンほんとに人種が混じってて楽しいけど。。。穴場ってやっぱり知り合いがいないと難しそう。 こんな美味しそうなもん、ロンドンにあったとは。いい感じ~!

No title
ゴートンさんステキ~ヽ(^o^)丿
一生懸命日本語しゃべろうとしてくれるのって嬉しいですね(^^)
塩さんは笑わせてもらいましたよ。

ラムチョップにカレーすっごくおいしそう~ヽ(^o^)丿
やっぱり違いますね~
大きさも本格さも・・・。
食べたいです~
No title
どうでも良い事だけど、来たついでに。
うちの旦那も今日、「ご飯さんに塩さん・・・」と子供に話てるの聞いた。

ちなみに来易いように、リンクしていいですか?
Re: No title
じょみーちゃん

テストお疲れ様!

がんばって勉強したあとのお酒は美味しかったかな?:)一緒に飲めなくて残念だったよ。

ラムチョップ、今度は男性人も誘っていこうね!おいしかったよね。オクラのカレーが
なんだか心に染み入ったわ。同じアジアなんだよね。

またメールするよ。塩さん仲間なのね。笑
Re: No title
ぱおさん、こんにちは!

いつもぱおさんのレシピがすごく素敵で、ぱおさんから色々違う文化の料理を尊敬すること、教えてもらった気がします。そのおかげで楽しくて!ありがとう!

てつおは毎日少しずつ日本語上手になっているのに、本人はまだまだ納得いかないみたいです。
もっと日本の友達が増えたらいいのにって思う。
ブログでもやってもらおうかしら・・。
Re: No title
カントリーママさん、こんにちは!

アメリカで食材もなんとなくイギリスと似ていて、カントリーママさんの生活のブログを私とっても楽しみにしています。教えていただくこともすごく多いなあ。

私もいつかアメリカに行きたいとすごく思います。ヨーロッパばかりでうーん、なんだか暗くて嫌。笑
南のほうに行けばよいのですが、なぜかいつも暗いところ。嫌だー。

ご主人とは英語でお話されているんですね!私は最近、英語が面倒で日本語でつぶやいています。
Re: No title
カントリーママさん、再び来てくださって嬉しい!

塩さん仲間がここにもいました!みんな素敵です、なんだかほのぼのです。

こちらこそ、リンクさせていただけたらすごく嬉しいです。よろしくお願いします!
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No title
こんばんは。
「塩さん」、しばし何の事か考えちゃいました(笑)。
ホワイトチャペルまでいらしたんですね。僕の勤めている大学の医学部の中心の一つが、そこにあるRoyal London Hospitalです。ぼくは違うキャンパスにいるので、そこのキャンパスにはあまり用事がないのですが、年に一度くらいは訪れるかな。

↓TOMBOに子供たちをScience Museumに連れて行ったついでに、立ち寄ってLANKAのケーキを食べて来ました。妻は大喜び!モモさんのブログの情報のおかげです。ありがとうございます!
Re: No title
DR.KENさん、お久しぶりです、お忙しいんだなって気にかかっていました。

私がイーストエンドを訪れたときは、たまたま礼拝らしきものがあり、そうだっただけかもしれないのに、町全体を表現するような書き方をして、少し反省しました。

LANKAに行かれたんですね:)私もロンドンに住んでいらっしゃる方々のブログから情報を頂いて、毎日楽しくわくわくしています。KENさんの写真を見ながら、ここに行きたいなとか、思うこともたくさんあります!

こちらこそ、素敵なブログをありがとうございます、これからもよろしくお願いします。

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